「飲み会やっぞ」


悪魔が言った。


「……はい?」

「放課後、タツキん家」


言いながら悪魔の目線はノートに向いていて、何やら文字を書き込んでいる。


授業が終わる3分前には教科書類をしまい、終わってからずっと窓の外を眺めてる私とは大違い。

……かと思いきや、悪魔はただ単に授業中に居眠りをしててノートを写せてないだけなのであった。


「と、突然すぎやしねぇか?」

「あいつの仕事の都合」

「てか、私も?」

「あぁ」

「私、お酒飲めないんだけど」

「誰も飲ませてやるなんて言ってねぇよ」

「……ケチ」

「あ?」


悪魔が顔を上げた。


私の胸が音を立てる。


怖いからとか、傷ついたからとかじゃなくて。

これは……傷み。

切なく苦しい、傷み。


「ねぇ、勉強楽しい?」

「勝手に話変えてんじゃねぇぞ」

「すいません。ごめんなさい。数学好き?」

「……殺されてぇのか」