最悪だと思った。

出来れば知りたくなかった。


大量のノートを抱えてる両腕がジンジン痺れを訴えてて。
それでも動こうとしない足は小刻みに震えてる。


……嘘だ、こんなの。


扉の隙間から見える光景、漏れてくる笑い声。


信じたくなかった。

夢だと思いたかった。


けど、私の目が、耳が、全身が。

それを否定してる。


驚きから、悲しみへ。

悲しみから──憎しみへ。


あぁ……

結局、こんなもんか。


ニンゲンは汚い欲望の塊だ。

表があれば、裏がある。

優しさは、罠。
笑顔も、罠。


傷つくのはいつも、信じるニンゲン。


重い絶望の中、思い浮かんだ人物は……。


俯いた視界に、ノートが映った。

右肩上がりの細長い文字。


……言えない。絶対。


奥歯を噛み締めて、目の奥から込み上げてくるものを堪え、踵を返す。


言えない。

絶対に──。