「隆斗、うめぇだろ?」


私が「うん」と頷くと、タツ兄は嬉しそうに表情を緩めた。


なんでタツ兄がそんなに嬉しそうなんだろ?


不思議に思ったけど、気づけば私も笑ってた。


ゲームを観戦してる途中、悪魔チームの1人があの金髪くんだという事に気づいた。

もう1人は知らない男の子。


私から見たら敵も合わせてみんなすごい上手いんだけど、その中でも悪魔はずば抜けてた。


教室にいる時とは違う。


キラキラ光る汗を拭う事なくプレーに没頭する、真剣な眼差し。


乱暴なシーンも多少あったけど、悪魔は一切加害者になる事はなくて。

避けるのも上手いんだ。


水の入ったペットボトルを逆さまにした時のように、心臓がドコドコ波打つ。

胸が急激に熱くなっていくのを感じた。


「……すごい……」


私の吐息のような呟きは誰にも届く事無く、爆発的な歓声に揉み消された。


悪魔のチームが勝ったんだ。


直後、予想もしてなかった光景が目の前で繰り広げられ始めた。