学習班はやたら仕事が多いけど、結構スムーズに活動できてると思う。

それは手際のいい五十嵐くんのお陰。

さらにこうやって私達に仕事を与えてくれる、面倒見のよさ。


五十嵐くんって、本当にすごい人だ。


「んー……持ってく係がいいな。なんか五十嵐くんが言った方が、みんな言う事ききそうだし」

「なんだそれ」


フワッと細い黒髪を揺らし、五十嵐くんが笑みを零す。

少し細くなった目、綺麗な弧を描いた口……うん、やっぱりイケメン。


火にかけられたヤカンみたいにコトコト鳴ってる胸が、ピーッと湯気吹きそう。


ふと五十嵐くんの背後から覗く、茶髪金メッシュのアシメウルフ。

椅子に座ってケータイいじってて、いかにも『周りなんか関係ねぇ』って態度。


佐久間隆斗が“悪魔”なら、五十嵐くんは“天使”。


けど悪魔も、笑えばあんまり怖くないと思うんだけどなぁ……。


「メール?」


その声に、私は耳を疑った。