「お前が名前で呼べっつったんだろうが」


悪魔は眉を潜め、そう吐き捨てた。


ク……“クマタ”?


なんかもう、何もかもが予想外すぎて。

涙が引っ込んだ。


「ここにあった袋、どこ行ったか知ってっか」


悪魔はぶっきら棒な態度で、鞄の掛けてある金具を指差す。


「え? あ……コンビニ袋?」

「あぁ」

「なんかあれ、中身潰れてて超悲惨だったから……捨てた」

「……なんだと?」


ひぃぃぃぃぃっ!!


「いやそのっ、あ! まだ、あそこのごみ箱に入ってるかも!」

「……殺されてぇのか?」


ぶほっ!!

失敗したぁぁぁぁぁ!!


オロオロ慌てふためく私に悪魔は「チッ」と舌打ちすると、机の上で腕を組んでそこにポフッと顔を埋めた。


茶色い後頭部を呆然と眺めてた私は、ふと周りの視線が自分に集中してる事に気づき、逃げるように机に突っ伏した。