魔の数学時間の終了後。

私の指導係にすっかり疲れきった様子の悪魔先生は、机に突っ伏してダウンしてた。


なんだか申し訳ない……一応お礼は言ったけど、返ってきたのは「あぁ」という生返事ひとつ。


それでも、返事をしてくれた事は嬉しかった。


ここ数日でいろんな事があったけどなんだかんだ言って、私は悪魔が大嫌いってわけじゃないらしい。


それに気づいたのは、私が休み時間になっても席を離れようと思わなかったから。

自分でもビックリしたくらい。


恐いのには変わりないけど、悪魔は“極悪”ってわけじゃないような気がする。

すっごくわかりにくいけど、隠れた温かさがあるような気がする。


そりゃあ悪いとこもいっぱいあるけど、ってか悪いとこだらけだけど。

チラリと覗かせる温かさが、確かにある。


少なくとも今の悪魔はいつもより恐くない。

そう思える事が不思議で、なんだか少し照れくさかった。


だけど。

そんな穏やかな時間も、長くは続かなかった。





「おい」


次の授業を確認していた時にそんな声が聞こえ、私は机の引き出しから視線をあげた。

そして、目の前の光景に目を見開いた。