……案の定、怪訝そうな面持ちの悪魔と目が合った。


綺麗な二重瞼の奥で、ギラリと光る茶色いビー玉。

相変わらず、眼力(めぢから)がお強い事で……。


「な、なに?」

「どこがわかんねぇんだよ」


そう言った悪魔の視線が私のノートに落ちてる内に、精一杯心を落ち着かせる。


私が怯える事なんてない。

弱みを握られてんのは、あっちなんだ。


よし!!
堂々と強気で行け、ひなた!!


「全部、かな?」

「……あ?」


ひぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!


目線を上げた悪魔はこの世のものとは思えない恐ろしい顔をしてて、それはあの契約の日よりも恐い顔で。


今度こそ口から心臓が丸々飛び出そうになった私は咄嗟に口押さえ、360度回転する勢いで目の前の危険生命物体を視界から追い出した。


「ご、めんなさい……」


……卑怯だ。

あいつ卑怯モンだ!!


自分の都合が悪かったらすぐ怒って。

自分より弱い者を脅して。


最低!! ムカツク!! 嫌い!!

……恐いし。


もうちょっと……優しくしてくれてもいいのに。


私、あの事誰にも言ったりしないから。

絶対言わないから。


だから……