「って熊谷。お前一問も解けてないじゃないか!」


チッ。
目ざといな。


ゲラゲラ仰け反りながら笑うタケティーに「今から解くんです!」と飴玉丸呑みした時以上の苦しい反抗をして、シャーペンを構える。

そして2つの机の接着部分に置かれた教科書に、目線をスライドさせた。


「…………」

「…………」

「…………」

「わからないんだろ?」

「…………」

「まさか寝てないだろうな?」

「……寝てません」

「やっぱりわからないのか」

「………………はい」

「ふっ」


タケティーウゼェェェェェ!!

『ふっ』って!!
鼻で!! 鼻で笑いやがった!!

その鼻の穴にシャーペン突っ込んでやりたい!!

いやしないけども!!
汚いから!!


ってかなんで悪魔の奴、こんな暗号みたいな難しい問題解けるんだ!?

不良だろ!?
お前不良だろ!?

普通『やってらんね〜』って鼻の下にシャーペン置いて、後頭部で両手組んで、椅子ユラユラさせてるもんなんじゃないの!?

それかグースカ寝てるんじゃないの!?

意味わかんねぇ!!
不思議くんかよ!!

謎!! マジ謎!!

どうでもいいけどとりあえず、君のノートを見せてはくれないか!!