『独りになりたくない』
『独りだと思われたくない』
『独りにされたくない』


ニンゲンが苦手な私は、人一倍ニンゲンに執着してる。


独りでも平気な、強いニンゲンになりたい。


そんな私の理想。

それに当てはまるのが、


──悪魔……佐久間隆斗だった。


独りでも、堂々とした態度。

独りでも、周りに違和感を感じさせない。

独りでも、誰にも苛められたりしない。


そんな悪魔は、私の憧れだった。





「え……」


居心地の悪い教室を抜け出しブラブラとあてもなく廊下を歩いていた私は、窓の外の光景に驚いて足を止めた。


登校中の生徒の中に、今にも立ち止まりそうなくらいのんびりと歩きながら会話をしてる2人の男子生徒。


どちらもガラが悪く、他の生徒はさりげなく2人と距離を置きながら通り抜けているのがわかる。


青いパーカーの上に学ランを羽織った金髪の生徒の隣で、薄っぺらいボロボロの鞄とコンビニのビニール袋を揺らしながら歩いているのは──


……悪魔。