「…………」


俯いたままコッソリ目線だけあげてみる。


イヤホンを片付けている彼。

私の存在を忘れてしまったかのような、何食わぬ顔。


安心した。

あの軽蔑するような冷たい瞳に見つめ続けられるより、無視されてた方が全然いい。


「……お前、バカか?」


ドクン、と心臓が熱くなった。


地上から深く暗い落とし穴に落ちてしまったかのような絶望感が、
ねじれた心臓にのしかかる。


「俺が、お前に手ぇ出さねー保証なんかねぇのに」


──ゾッとするような恐ろしい目が私を突き刺した。