どうやら悪魔の後輩らしい男子生徒くんは、実習場を見つめ何かを考えている。


っていうか、悪魔の事を“隆斗さん”と呼んでる彼は、見かけによらずとても礼儀正しい子だと思った。

そしてこんな怖い子に“さん”付けで呼ばれちゃう悪魔は、本当に恐ろしい奴だ。


「あく……佐久間くん、実習場の裏にいますかね?」

「あー……っと、いるにはいるんスけど……」


私の方を向いたかと思えば、視線はまた実習場へ。


……なんだい、都合の悪い事でもあんのかい?


気になるけど、初対面なだけに聞きづらい。


「……隆斗さん、今ちょっと……話せる状態じゃないっつうか……」

「え?」

「すんません。あ、用事なら俺が──」


男子生徒くんの言葉を遮るように、軽快なロックミュージックが鳴り響いた。


男子生徒くんはポケットから音源であるケータイを取り出し、私に一言断ってから電話に出た。