「すっごい意外」


私と悪魔が付き合った事を知った涼子達の感想が、これだった。


どうやら私が悪魔に連行されたという噂はあの短時間で学年中に広まってたらしく、1人で教室に戻った途端、涼子と由美に『大丈夫だった!?』とかなり心配された。

そっからは質問の嵐。

いつの間にか私と悪魔が付き合った事がクラス中の話題になってて、けど私は妙に冷静で、私の代わりにクラスのみんなが騒いでるような気分だった。


なんかイマイチ実感が沸かない。

ってか、あれ?

“付き合う”って具体的にどういう事?


全てがあやふやで、不安で。

付き合い始めって、みんなそうなんだろうか。


自分が嬉しいのかそうじゃないのかもよくわかんないのは、やっぱりおかしいんだろうか。

苦笑いしか出来ないのは、罪悪感のせいだろうか。


明日には悪魔との噂が学年中に広まってんだろうなって、ちょっぴり憂鬱になった。


「あんまり目立ちたくないのになぁ……」

「それは無理でしょ。なんたって佐久間くんの彼女だよ? ひなた」

「うぬ……」


放課のチャイムが鳴り終わったばかりの今、階段は人、人、人。

まるで大きなアリの行列だ。


今日は涼子と由美と一緒に繁華街まで遊びに行く事になってる。