「吸血鬼って言ったって、夜に人が出歩かなかったら日の光くらい我慢しちゃいそうじゃない?」

 少女は友人の発言に小さく頷いたが、心此処に在らずといったところで、何かを考えているようだった。

 友人はそんな少女の様子をいつものことだと、ため息を吐きながらも話しを打ち切った。



「良い? 姫は運動神経は良いくせに鈍いし、頭良いくせに抜けてるんだから、不審者に会ったら迷わず逃げろ。分かった?」


 少女、姫こと姫乃木 リオは過保護な友人に苦笑した。それでも、リオは素直に頷いた。友人の言うことはいつでも正しかったから。



「気を付ける。亜紀も気を付けてね」


 友人、亜紀にそう告げ、手を振って別れた。

 しかし、その数分後、リオは亜紀には予知能力でもあるのではないかと真剣に頭を悩ませることとなった。