「お母さん?

ごめん今まだ塾なんだけど…」

『うわっ!ホントだ

もうこんな時間!』


お母さんに電話すると、

なんか寝起き声だった


「ごめん、塾で寝てた…」

『お母さんも寝てた…』

やっぱり。

似た者親子……


『お父さん飲みに行ってるの

ごめん沙枝ちゃん…

お母さんさっき

ワイン飲んじゃった』


「え、うそ…」


「どうしたの?」

先生が覗き込む

「お母さん飲んじゃったって」


『そこに誰かいるの?』

え!そんな突然!

先生とのこと…ああぁ~~どこから話せばいいの??


『まあ、沙枝ちゃん、あとでお金払うから

タクシーで帰っておいで』

「タクシー…?」


お金かかるなあ、って思ってたら

先生は私からケータイを奪った


「沙枝さんのお母さんですか?

私塾の講師の藤石と申します」

先生はすらすらと事情を話した

大人っぽくて…かっこいい


「はい、ではそういうことで、はい。」

ぽーっと見ていると、先生は電話を切って、パカっとケータイを閉じた


「沙枝ちゃん、おいで」

手を差し出した先生は色っぽくて、ドキドキして

その手を取るのを

少しためらってしまうくらいだった