ああ、どうしよう!!!

 完璧な寝坊だ。

 どう考えても、予定の時間は遙かにオーバーしている。

 メイとカイトの2人は、空港についたタクシーから飛び降り、出発ゲートへと急いだのだった。

 持っているのは、小さなバッグだけ。

 大きなトランク類は、事前に空港に配達してもらうように手配していたので、既にどこかに到着しているハズだ。

 広い国際空港の中を、2人は走った。

 あ。

 しかし、メイは自分の手が彼に掴まれて、引っ張られているという状態に気づいてしまった。

 大きな手が、しっかり掴んでくれている。

 こんな時に不謹慎かもしれないが、すごく嬉しかった。

「こっちだ!」

 大きな声が聞こえて、反射的に彼女は声の方を向いた。

 聞き覚えのあるものだったのだ。

 見れば、そこには。

「ソウマさん!」

 メイの声に、カイトはばっと走るのを止める。

 勢い余って、メイは彼にぶつかってしまうが、別に痛くはなかった。

 その衝撃にか、カイトが振り返ったが、慌てて大丈夫とアピールする。

「心配していたのよ…」

 そう、本当に心配していたのは彼らだろう。

 ハルコも、見送りに来てくれていた。

 荷物を引き取りに行ってくれたらしく、そこに彼らのスーツケースもある。

 本当に、気配りの出来る人たちだ。

 一生、頭が上がらないだろう。