「ほらほら、学校に遅れるよ!」

 昨日、夜更かししていた息子の布団をひっぱがすリンの手に、容赦はなかった。

 当たり前だ。

 夜更かししたのは、自業自得なのだから。

 早く寝ろと、何度も彼女が言ったのに聞かなかったバカ息子には、このくらいの仕打ちは当然だった。

 まったく、テレビゲームばっかりやって。

 しかし、昨日の息子は何かに取り憑かれていたかのように、ブツブツとタイムを口にしながら、同じ画面ばかりを繰り返すのだ。

 見るたびに同じ画面なので、彼女の方が覚えてしまうくらいだった。

 確か、竜が――

「ふえ…あと5分」

「ほらほら!」

 往生際悪く、布団にしがみつく息子を足蹴にしながら、リンは母としての任務をまっとうしたのだった。