ハナはどこか、まったく知らない人間とは思えない親近感があった。

 何となく、カイトを彷彿とさせるのだ。

 だから、きっと自分もソウマも、きっと彼女を気に入るだろうという予感があった。

「だ、大丈夫です~…オレが、責任持って送りますんで」

 しかし、彼女の申し出は迷惑だったようだ。

 ハナを取り上げられるとでも思ったかのか、彼は慌てて遠慮するのである。

「あら、そう?」

 どんな責任なのかしらねぇ、ふふっ。

 残念なような、楽しいような。

 ハルコは、それ以上邪魔するのは可哀想に思えて、立ち去ることを決めた。

 自分の席への帰り道。

「何かいいことでもあったのか?」

 ようやく、チーフとの男の会話が終わったらしいソウマが、途中で彼女と合流した。

「それはもう、あなたがいない間に、いろいろね」

 夫にエスコートされて、席に戻ると。

 ハルコは、果糖のことに目をつむって―― リンゴやオレンジに手を伸ばしたのだった。