♪水

 うーん…。

 身体を横たえられて、少しは苦しさが減る。

 心なしか、お酒の魔法に強く締め付けられていたのが、緩んだような気がして、ハナは大きなため息を吐いた。

 目は開かない。

 いや、開けられないワケではないのだが、わざわざそんなことに気力をさきたくなかった。

 目を閉じていると、気持ちがいいのだ。

 幸い、枕もあるし。

 こんなに飲んだのなんて久しぶりだ。

 飲まずにはいられない日だったので、こうなっても仕方なかったのかもしれない。

 だが、今の彼女は、何故飲まずにいられなかったかという理由にまで、発展して考えられなかった。

 こうしていると心地いいので、ずっとそれを維持したかった。

 頭が、撫でられる。

 誰?

 何だか。

 大きな手。

 パパ?

 キズオ?

 大きな手の知り合いは、そのくらいしか思い浮かばなかった。

 しかし、こんなところにその2人がいるはずがない。

 更に、キズオは自分には、こんなことはしない。