信じられない。

 メイは、しばらく彼の言葉を、理解出来なかった。

『オレは……おめーを、オレだけのものにしておきてぇ…』

 それって…。

 やっぱり、どうしても信じられそうになかった。

 頬をつねって痛いかどうかさえ、確認したいくらいなのだ。

 いまの言葉が夢だと言われた方が、よほど彼女は納得するだろう。

 なのに、目は覚めない。

 目の前にはカイトが存在し続けて、確かに本物の時間が流れていることさえ、身体で感じることが出来る。

 これは、現実なのだ。

 息を殺せば、彼の少し乱れた呼吸さえ、聞くことが出来る。

 オレだけの。

 いま、その唇が本当に言った言葉。

 翻訳するまでもない。

 まるで。

 まるでカイトは、彼女の存在に対して、独占欲を表しているように聞こえたのだ。

 それ以外の翻訳をしようとしても、全部うまくいかなかった。

 メイのことを、とても大変愛し―― ドクンッ!!!

 考えようとしたことは、自分の心臓の音に邪魔された。

 途切れてしまった言葉なのに、ハートの内側だけは、そのパズルを完成させてしまったのだ。

 指先までも、熱く感じた。

 カイトに。

 彼に。

 本当に、自分は。

 一瞬、視界の中の彼が霞んだ。

 どうして見えにくくなるのか、すぐには分からなかった。

 驚いている瞳が見える。