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男と言えば、会社で問題のあるオタク連中か、姉のカレシであるキズオくらいとしか、生身の付き合いはなかった。
ネットは除いて。
そんな連中を見ている彼女にしてみれば、こぎれいにして女の視線を意識した姿をしているウェイターの方が珍しい存在だ。
しかも、今彼女に呼び止められて近づいてくる男は、かなりの色男だ。
だが、そんな存在たちの頭の中の大半は、女や自分の容姿を磨くことについての興味ばかりだと決めつけているハナは、見てくれごときでクラクラしたりはしない。
チャラチャラしてるに違いないわ。
短絡的な酔っぱらいの頭で、ハナはそう決定づけた。
「ちょっと、このワイン開けてよ! ムカつくから飲んじゃいたいのよ!」
そんなウェイターに向かって、ふざけたワインラベルの瓶を突き出す。
「お、おい! ハナ!」
彼女にワインを見せてくれた会社の先輩が、慌てたように止めに入る。
彼のものであるそれを、勝手に飲もうと計画しているのだから、慌てて当然だろう。
しかし、ハナは構わなかった。
「はやく、開けてよ!」
驚いた顔をしているウェイターに向かって、なおも畳みかける。
「ハ、ハナ! バカ! その人は、ウェイターじゃない!」
慌てた先輩の声は―― 一瞬、彼女の耳にきちんと聞こえなかった。
男と言えば、会社で問題のあるオタク連中か、姉のカレシであるキズオくらいとしか、生身の付き合いはなかった。
ネットは除いて。
そんな連中を見ている彼女にしてみれば、こぎれいにして女の視線を意識した姿をしているウェイターの方が珍しい存在だ。
しかも、今彼女に呼び止められて近づいてくる男は、かなりの色男だ。
だが、そんな存在たちの頭の中の大半は、女や自分の容姿を磨くことについての興味ばかりだと決めつけているハナは、見てくれごときでクラクラしたりはしない。
チャラチャラしてるに違いないわ。
短絡的な酔っぱらいの頭で、ハナはそう決定づけた。
「ちょっと、このワイン開けてよ! ムカつくから飲んじゃいたいのよ!」
そんなウェイターに向かって、ふざけたワインラベルの瓶を突き出す。
「お、おい! ハナ!」
彼女にワインを見せてくれた会社の先輩が、慌てたように止めに入る。
彼のものであるそれを、勝手に飲もうと計画しているのだから、慌てて当然だろう。
しかし、ハナは構わなかった。
「はやく、開けてよ!」
驚いた顔をしているウェイターに向かって、なおも畳みかける。
「ハ、ハナ! バカ! その人は、ウェイターじゃない!」
慌てた先輩の声は―― 一瞬、彼女の耳にきちんと聞こえなかった。