カイトは、腕に強い衝撃を感じた。

 後ろからついてくるはずの身体が、車輪の外れてしまった馬車のように、急に動きを止めたのだ。

 だから、そのまま進もうと思っていたカイトの腕には、大きな重しとなったのである。

 ハッ!

 慌てて振り返ると、白いドレスが床に広がっていた。

 転んでしまったメイが、座り込んでいたのだ。

 すぐ側に落ちている、真っ白い靴が一つ。

 ―― ッ!

 カイトは、またやらかしてしまったことに気づいた。

 自分の乱暴な行動が、ついに彼女を転ばせてしまったのである。

 慌てて、メイの目の前にかがみ込んで、顔を覗き込んだ。

「あ…ごめんな……」

 まるで。

 ついてこれなかった自分が悪かったかのように、メイが謝ろうとする。


「そうじゃねぇ!」


 思わず、カイトは怒鳴ってしまった。

 前後関係をよく見ろ、と思ったのだ。