カッと。

 これでもか、とばかりに眩しいライトだ。

 会場内が暗いせいか、突き刺さるほどの明るさを感じて、カイトは眉を顰めた。

 人が、その顔を見ているなんてことは、わずかも考えていない。

 たとえ考えたとしても、ここでサービスの笑顔が出るような男ではなかったが。

 メイが、光に怯えた猫のように、ぎゅっと腕にしがみつく。

 それで、少し冷静になれた。

 式の時みたいに爆走して、彼女を転ばせるワケにはいかないのだ。

 拍手がうるさい。

 その上、気取った口調の進行の声が耳障りだ。

 気色の悪い形容で、2人のことを称えてくれているが、どれもこれも芝居がかっていて、まっぴら御免の内容だった。

 不承不承、カイトは頭を下げた。

 披露宴に来てくれて、みなさんありがとう―― そんな気持ちは、絶対にないのに。

 カイトにとっては、「疲労宴」でしかなかった。

 まだしがみつく、メイのみに意識を向けて、一歩踏み出す。

 ライトがありがたいのは、会場内の連中の顔を、余り見せないでいてくれるからだ。

 どんな表情でも、カイトがこんな格好でこんなことをしていることをあざ笑っているように感じるのだから、いっそ見えない方がよかった。

 たとえ、心からの祝福であったとしても、耐えられない居心地の悪さになるだけだ。

 誰が選んだんだ。

 頭の上から流れてくる音は、ホイットニーである。

 これは。

 間違いなく。

 ベタベタの披露宴なのだ。

 カイトは、ライトのせいではない汗を、背中に一筋流した。

 どんどん表情が険しくなる。