●85
「では、入場の準備を」
全員、披露宴会場に入ってしまったらしく、一度会場へのドアは閉ざされた。
ドアの外に残されたのは、カイトと自分と、そしてソウマ夫妻だけとなる。
「入場って、まさかまた…?」
ギロリ。
カイトの強い睨みがソウマに飛んで、びっくりしてしまった。
その視線にもびっくりしたのだが、メイの身体が、ぐっと彼の腕に引っ張られてしまったのだ。
カイトの後ろに、押し込むかのように連れられる。
何だか。
タキシードの背中を見ながら、メイは顔を熱くしてしまった。
何だか、大事なもののように隠されている気になったのだ―― 誰かに取られないように。
今日は、特別な日だから。
彼女はそう自分に言った。
だから、きっと魔法が続いているに違いないのだ。
カイトも、結婚式という空気に、感化されたのだろうか。
こうやって背中に庇われると、信じられないくらいの幸せに襲われて、打ちのめされる。
めまいがしそうだ。
実際問題、この時、彼女は目の前が少し暗くなった。
軽い立ちくらみだったので、すぐに戻ってきたけれども。
思えば。
今日は、朝食どころではなかった。
それから、ドレスを着る前にビスチェでぎゅっと締め上げられ、緊張の連続である。
挙げ句の果ては、幸せの嵐。
身体中も心中もびっくりしてしまって、血の流れさえおかしくなってしまったように思えた。
ふぅと深く息をついて、自分の中の鼓動を落ち着ける。
「では、入場の準備を」
全員、披露宴会場に入ってしまったらしく、一度会場へのドアは閉ざされた。
ドアの外に残されたのは、カイトと自分と、そしてソウマ夫妻だけとなる。
「入場って、まさかまた…?」
ギロリ。
カイトの強い睨みがソウマに飛んで、びっくりしてしまった。
その視線にもびっくりしたのだが、メイの身体が、ぐっと彼の腕に引っ張られてしまったのだ。
カイトの後ろに、押し込むかのように連れられる。
何だか。
タキシードの背中を見ながら、メイは顔を熱くしてしまった。
何だか、大事なもののように隠されている気になったのだ―― 誰かに取られないように。
今日は、特別な日だから。
彼女はそう自分に言った。
だから、きっと魔法が続いているに違いないのだ。
カイトも、結婚式という空気に、感化されたのだろうか。
こうやって背中に庇われると、信じられないくらいの幸せに襲われて、打ちのめされる。
めまいがしそうだ。
実際問題、この時、彼女は目の前が少し暗くなった。
軽い立ちくらみだったので、すぐに戻ってきたけれども。
思えば。
今日は、朝食どころではなかった。
それから、ドレスを着る前にビスチェでぎゅっと締め上げられ、緊張の連続である。
挙げ句の果ては、幸せの嵐。
身体中も心中もびっくりしてしまって、血の流れさえおかしくなってしまったように思えた。
ふぅと深く息をついて、自分の中の鼓動を落ち着ける。