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「ごめんね、緊張しちゃってて…でも、来てくれてありがとう」
その、彼女の表情が。
とても、うれしそうだった。
クソッ。
自分以外に向けられるその表情に、勝手に嫉妬心が動き出す。
けれども、彼女がほかの人に祝福してもらえるのを、とても喜んでいることが分かって―― 結婚式で、既にすりきれてしまっていた理性をつなぎ合わせるための活力にもなったのだった。
「面白い結婚式だねぇ…あんな式を見たのは初めてだよ」
おかしくてしょうがないという風に、リンという女が余計なことを付け足す。
メイの頬が、ぱっと真っ赤に染まって。
恥ずかしそうに小さくなる彼女の代わりに、カイトは堂々と胸を張った。
それがどうした、と。
イヤなら見るな。
違う。
イヤでなくても見るな、というのが本当の気持ちだ。
しかし、招待客全員に目隠しをするワケにもいかず、カイトにしてみれば開き直る以外に、自分のプライドを守る方法を見つけることができなかったのだ。
「ねーねー! KO-NANの社長さんって本当???」
ユウという子供は、メイに飛びついていたかと思うと、今度はカイトに絡んでくる。
「あぁ?」
まさか、自分に話が振られるとは思ってもみなかったので、性格の悪そうな反応になってしまった。
子供に夢を売っている会社の社長さんとやらは、随分と態度が悪いものだと思われてもしょうがないほどだ。
しかし、相手のキラキラの目は、それくらいでは変わらなかった。
「あのね、あのね…ユウね、『BADIA』でね、マリアが死にそうになる時、竜を倒しに行くでしょ? そこで……みゃー!!!」
最後の悲鳴の表現に、間違いはなかった。
いきなりぬっと伸びた腕が、ユウの襟首を掴むと引き戻したのである。
「いやー! もっと、ゲームのお話するの~!!!」
そんな子供を、父親は無言で引きずって行ってしまった。
また後で、とリンもウィンクをしてついていく。
「ごめんね、緊張しちゃってて…でも、来てくれてありがとう」
その、彼女の表情が。
とても、うれしそうだった。
クソッ。
自分以外に向けられるその表情に、勝手に嫉妬心が動き出す。
けれども、彼女がほかの人に祝福してもらえるのを、とても喜んでいることが分かって―― 結婚式で、既にすりきれてしまっていた理性をつなぎ合わせるための活力にもなったのだった。
「面白い結婚式だねぇ…あんな式を見たのは初めてだよ」
おかしくてしょうがないという風に、リンという女が余計なことを付け足す。
メイの頬が、ぱっと真っ赤に染まって。
恥ずかしそうに小さくなる彼女の代わりに、カイトは堂々と胸を張った。
それがどうした、と。
イヤなら見るな。
違う。
イヤでなくても見るな、というのが本当の気持ちだ。
しかし、招待客全員に目隠しをするワケにもいかず、カイトにしてみれば開き直る以外に、自分のプライドを守る方法を見つけることができなかったのだ。
「ねーねー! KO-NANの社長さんって本当???」
ユウという子供は、メイに飛びついていたかと思うと、今度はカイトに絡んでくる。
「あぁ?」
まさか、自分に話が振られるとは思ってもみなかったので、性格の悪そうな反応になってしまった。
子供に夢を売っている会社の社長さんとやらは、随分と態度が悪いものだと思われてもしょうがないほどだ。
しかし、相手のキラキラの目は、それくらいでは変わらなかった。
「あのね、あのね…ユウね、『BADIA』でね、マリアが死にそうになる時、竜を倒しに行くでしょ? そこで……みゃー!!!」
最後の悲鳴の表現に、間違いはなかった。
いきなりぬっと伸びた腕が、ユウの襟首を掴むと引き戻したのである。
「いやー! もっと、ゲームのお話するの~!!!」
そんな子供を、父親は無言で引きずって行ってしまった。
また後で、とリンもウィンクをしてついていく。