□
「はい、こっち向いてね」
ハルコに促されて、メイは独身女性の群れに背中を向けた。
へぇ。
何故か、そのシステムにちょっと感心してしまった。
誰に目標を定めるワケでもなく、本当に運まかせで投げるのだ。
メイが、軽く香りをかぐように。
いや、まるで別れを惜しむように、白薔薇のブーケに一度顔を埋めた。
その伏せた瞳の横顔が、カイトの視線を釘付けにする。
すぅっと。
寒空に吸い込まれるように、ブーケが空を舞った。
白い花が、白い弧を描いて、白い―― あっ!
ぶわっと、強い風が吹いた。
2月の冷たい風だ。
つむじのように円を描いて、いたずらに花の軌跡を振り回す。
「あっ…」
背中を向けたままの、メイが。
声を出した。
まだ、誰の手にもブーケは渡っていない。
落ちる寸前の花よりも早い、たった一言。
白く降る。
花は、白い指に抱き留められた。
けれども、まだ白く降る。
雪だ。
「はい、こっち向いてね」
ハルコに促されて、メイは独身女性の群れに背中を向けた。
へぇ。
何故か、そのシステムにちょっと感心してしまった。
誰に目標を定めるワケでもなく、本当に運まかせで投げるのだ。
メイが、軽く香りをかぐように。
いや、まるで別れを惜しむように、白薔薇のブーケに一度顔を埋めた。
その伏せた瞳の横顔が、カイトの視線を釘付けにする。
すぅっと。
寒空に吸い込まれるように、ブーケが空を舞った。
白い花が、白い弧を描いて、白い―― あっ!
ぶわっと、強い風が吹いた。
2月の冷たい風だ。
つむじのように円を描いて、いたずらに花の軌跡を振り回す。
「あっ…」
背中を向けたままの、メイが。
声を出した。
まだ、誰の手にもブーケは渡っていない。
落ちる寸前の花よりも早い、たった一言。
白く降る。
花は、白い指に抱き留められた。
けれども、まだ白く降る。
雪だ。