う。

 ううう。

 うああ。

 ぐにゃぐにゃと顔を動かそうとするが、日頃怠け者の顔の筋肉である。

 なかなか、カイトの思い通りには動こうとしなかった。

 メイが望むなら。

 一生に一回くらい。

 ハジの一つや二つ。

 うぐぐぐ。

 そんな、彼の努力など知らず。

「しょうがないですねぇ…まあ、新郎さんは凛々しくてもいいでしょう」

 カメラマンの方が、根性ナシだった。

 あっと思う間もなく、カメラマンはファインダーを覗き込む。

 手を上げられると、無意識でそっちを見てしまうのが人情だ。

「はい、いきますよ!」


 カイトの努力は―― 無駄に終わった。


 パシャッッ!