夢のような時間が終わったのは、突然だった。

 ハッとした動きが、キスを終わりにしてしまったからである。

 驚いて目を開けると、カイトがばっと顔をそらしていた。

 カメラとは反対の方向に、だ。

 その頬の端が、少し赤いような気がして。

 あっ。

 メイも、そこで現実に気がついた。

 大勢の人とカメラに、さっきのキスを強く焼き付けられたに違いなかったのだ。

 周囲の人がみんな、ニヤニヤして自分たちを見ている気がして、顔から火が出るくらいに熱くなってしまった。

 けれども、もうヴェールは、彼女の表情を隠してはくれないのである。

 あぁ。

 メイまで。

 カメラとは反対の方向に顔をそらしてしまった。


 進行が、次を宣言するまでの時間が、遠く感じてしょうがなく―― その間中、周囲の視線を針のように感じていたのだった。