見んな!

 そう心の中で吠えたてたが、一向に彼らに通じる様子はなかった。

 今か今かと、キラキラした視線で、カイトを打ち抜くのだ。

 クソッ!

 カメラになんか収まらないくらい速く、指輪をはめてしまえばいいのだ。

 彼女の細い指に、するっとおさめるだけで終わりだった。

 何も周囲に、サービスしてやる必要などない。

 カイトは、そう決心した。

 近くにあるリングの小さい方をがしっと掴むと、進行が「まず、新郎から新婦へ…」という言葉が終わらない内に、メイの手を捕まえていた。

 そして、いざはめようとした時。

 うっ。

 カイトは、それが不可能であることを知ったのだ。


 何故なら―― 彼女はまだ、手袋をはめたままだったのだから。