まさかあの時は、結婚してしまうなんて、思ってもみなかったけれども。

 そうして、ソウマと一緒に動き出した歯車の中に、カイトやメイが混じった。

 複雑な事情があったのだが、2人とも余りに恋愛にデキの悪い生徒だった。

 一時は、もう完全にダメなのではないか、とまで思って胸を痛めたこともある。

 その2人も、いまこんな風に誓いの言葉を交わすことになるなんて、思いもよらなかったに違いない。

 結婚なんて、本当にそんなものなのかもしれない。

 それを決めた瞬間に濁流に呑まれ、押し流され、気づいたら全然違うところに立っているのだ。

「誓います」という、カイトの声。

「誓います…」―― これは、メイ。

 2人とも、これまでのことを思い出したのか、胸に詰まったような音だった。

 私も。

 誓いの言葉の時は、本当は泣きそうだったのよ。

 覚えてる?


 ソウマの方に、視線でそう言ったが、彼はさすがに分からなかったようだった。