メイの方は、というと。

 白い薄布に隠されていて、この距離からでは、はっきりと見ることが出来なかった。

 扉のところから、カイトのところまでは少しある。

 彼女が、手元に運ばれてくるまで、おとなしく待ち続けなければならないのだ。

 イラッ。

 カイトは、最後の忍耐を強いられていた。

 視線は、自分以外の男と腕を組むメイに注がれている。

 相手が、対象外のソウマだということは、重々分かっているし、自分に何度もそう言い聞かせもした。

 けれども。

 あの白いヴェールの内側を、自分より先に見たかと思うと。

 そして、まるで頼らせるように腕を貸している姿を見ると、ムカムカしてしょうがなかった。

 あの役は、自分のものなのだ。

 メイに頼られるのは、自分だけでいい。

 オレが、オレが、オレが―― というものが、またふつふつと煮えたぎるのだ。

 プチンプチンと、一本ずつキレていく。

 なのに、あの二人の歩みはゆっくりすぎた。

 一歩進んでは止まり。

 メイを気遣うようにしながら、次の一歩を、これまたゆっくりと踏み出すのだ。

 こんな、拷問な時間はなかった。