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ようやく。
本当にようやく、聖堂の扉が開いた。
それまで、カイトはずっと一人で、こんなところでさらしものになっていたのだ。
こんなところ―― ヴァージンロードを少し入ったところで、両側から知り合い連中の視線が突き刺さり、自分のこの姿をあざ笑っているような気がして、屈辱の限りを味わっていた。
その上、彼女と引き離されているという事実に、こめかみにはくっきりと四つ角が浮き上がっていたのだ。
そばには監視のためなのか、シュウが配置してあった。
ソウマの差し金に違いない。
いざとなったら、このロボットを蹴り倒して逃走することは可能だろうが、彼の忍耐はどうにか持ちこたえたようだった。
扉に視線を向けると、寒風と共に、まずはハルコや子供が入ってきた。
違う。
カイトの目標ではなかった。
イライラ度が、また一歩アップする。
その後で、ようやく白いドレスが、ぱっと目に飛び込んできた。
メイだ。
そう認知するやいなや、心臓が信じられない速度で走り出す。
さっきまでの見せ物状態へのイライラも、この一瞬は吹っ飛んだ。
視線を、一気に上まで跳ね上げる。
途中経過のきれいなドレスを眺めるよりも、いまの彼女の顔が見たかったのだ。
綺麗なのは決まっている。
頭の中にある、彼の仮ヴィジョンを、きっと遙かに越えているに違いない。
たとえ、それで自爆してしまったとしても、視線を上げずにはいられなかった。
が。
カイトは眉間にぐっとタテジワを寄せた。
視界に入ったのは、にこやかなソウマの表情だけだったのだ。
アイソ、ふりまいてんじゃねぇ!
鋭いツッコミが、こういう時でも頭の中を光速で突き抜ける。
ようやく。
本当にようやく、聖堂の扉が開いた。
それまで、カイトはずっと一人で、こんなところでさらしものになっていたのだ。
こんなところ―― ヴァージンロードを少し入ったところで、両側から知り合い連中の視線が突き刺さり、自分のこの姿をあざ笑っているような気がして、屈辱の限りを味わっていた。
その上、彼女と引き離されているという事実に、こめかみにはくっきりと四つ角が浮き上がっていたのだ。
そばには監視のためなのか、シュウが配置してあった。
ソウマの差し金に違いない。
いざとなったら、このロボットを蹴り倒して逃走することは可能だろうが、彼の忍耐はどうにか持ちこたえたようだった。
扉に視線を向けると、寒風と共に、まずはハルコや子供が入ってきた。
違う。
カイトの目標ではなかった。
イライラ度が、また一歩アップする。
その後で、ようやく白いドレスが、ぱっと目に飛び込んできた。
メイだ。
そう認知するやいなや、心臓が信じられない速度で走り出す。
さっきまでの見せ物状態へのイライラも、この一瞬は吹っ飛んだ。
視線を、一気に上まで跳ね上げる。
途中経過のきれいなドレスを眺めるよりも、いまの彼女の顔が見たかったのだ。
綺麗なのは決まっている。
頭の中にある、彼の仮ヴィジョンを、きっと遙かに越えているに違いない。
たとえ、それで自爆してしまったとしても、視線を上げずにはいられなかった。
が。
カイトは眉間にぐっとタテジワを寄せた。
視界に入ったのは、にこやかなソウマの表情だけだったのだ。
アイソ、ふりまいてんじゃねぇ!
鋭いツッコミが、こういう時でも頭の中を光速で突き抜ける。