「おいおい! どこに行く!」

 監視係のソウマに見つかって、入り口の前に立ちふさがられる。

 黒いモーニングなんか来て、髪も綺麗になでつけて。

 悔しいけれども、彼のその格好は似合っていた。

 着慣れている風格というか。

 少なくとも、カイトの濃紺のそれとはえらい違いに感じる。

 男としての嫉妬が、余計にソウマへのイラだちを募らせるのだ。

「どけ!」

 どうせ、一緒に祭壇の前まで行くのだ。

 それまでちんたら、こんなムサ苦しいところで待っている必要はない。

 最初から、カイトが連れていけばいいのだ―― 完全に、彼はリハーサルを無視しきっていた。

「まあまあ、もうすぐ始まるから、もうちょっとおとなしくしていろ」

 宥めようとする態度が、またカンに障る。

 押しのけて出ていこうとすると。

「シュウ! そっち押さえろ!」

「分かりました」


 てめぇらぁ~~~!!!!