こうなったら。

「ええー! 行きたいんです、行きたいんです。私も出席したいー!!!」

 粘り作戦だ。

 何度も何度も同じことを繰り返し、向こうがイヤになるまで言い続けるのだ。

 このうるさいのを止めるには、招待するしかないと思わせるのである。

「ホントはイヤだけど、お酌もしますからー!!」

 最後は、泣き落としだ。

 しかし、コウノは強固なツラの皮だった。

 完全にシカトに入った不機嫌な顔で、ディスプレイに向かうと、もう一度も彼女の方を振り返らなかったのである。

 口では負けると分かっているのか、最初から会話さえ交わそうとしてくれないのだ。

 確かに、ハナは口では負ける気がしなかったけれども。

「ま、まあまあ…二次会には呼んでやるから」

 後ろから、他の開発スタッフが止めに入る。

 そのまま、ハナはずるずると引きずられてしまった。

 これ以上社長を刺激して、怒鳴りが出たらたまらないからだろう。

 ちぇー! ちぇー!

 ずるずるずるずる。

 後方に連行されていきながら、ハナは唇をとがらせた。

 そして、報復を決めた。

 今日は、終電で帰ってやるー! 徹夜なんか誰がするもんかー!