「嬉しい…よかった」

 あったかいんだ。

 メイはもう、自分が何を口走っているのか、よく分かっていなかった。

 同じことを、何度も繰り返しているような気がする。

 バカみたいに、『あったかい』と。

 ようやく、カイトにじっと見つめられていることに気づいて、慌てて口を閉じた。

 恥ずかしくなってしまったのだ。

 1人だけ、妙に浮かれ騒いでしまって。

 そうしたら。

 そうしたら、彼の腕が。

「あっ……」

 ぐっと、抱き寄せてくれた。

 セーターの柔らかい胸の中に、飛び込む結果になってしまう。

 あぁ。

 メイも、ぎゅっと彼を抱きしめた。

 カイトの体温が、セーターを通して彼女に伝わってくる。

「ホント…あったかい」

 今夜は、羊の夢が見られそうだった―― 2人一緒に。