確かに、彼女は優秀だ。

 それは、カイトでなくとも第1のメンツが認めているところだ。

 自信があるところも、悪くない。

 この職業で、『私、全然ダメなんで』と言おうものなら、即刻クビにしてくれと、自分から断頭台に上がるようなものだ。

 ハナの自信は、まあ、妥当と言ってもいいだろう。

「んなに、自分の才能を披露したけりゃ、おめーにしか作れねぇもん持ってこい」

 まだアピールし続ける彼女に、ついにカイトはそう言った。

 すると。

 ぱたっと、よく動いていた口が止まる。

 オーラが変わった。

 それはそれは、鮮やかに。

「それじゃあ…作って持ってきたら、シャチョー、見てくれるんですね?」

 猫かと思っていたら。

 とんだ豹が、背中のファスナーを開けて出てきたのだ。

「好きにしろ」

 豹が出てきたのに、カイトも寝ぼけた獅子ではいけなかった。

 ハナの青い目が、ランランと輝く。

「分かりました…楽しみにしててください!」

 こうしちゃいられないと。

 いまは、第1の応援に来ているのだから、自分のプログラムなど作る時間はないというのに、まるで今から作るかのように彼女は身を翻す。

 あちこちのスタッフをはねとばす勢いで、いまや自分の指定席となったコンピュータの前に戻るのである。

 女にしとくにゃ惜しい。

 カイトは、片方を眉を上げた後、再びディスプレイの方へと戻った。