□66
メイが、何か隠したことなんて、気にならない―― ワケがねぇ!!
くそっ。
昨日のことが、頭にしっかりとこびりついたまま、カイトは仕事場でバグ退治に眉を顰めていた。
今頃になって、やたら細々したバグが、彼のところに届けられるようになっているせいで、余計にイライラが募っていく。
よくもまぁ、こんなちっちゃいのを見つけたよな、というものまで出てきたのは。
一重に。
「シャチョー!! ここ、ここ!」
来た。
カイトは、半目になった。
応援部隊の切り込み隊長と、すっかり噂が高くなったハナである。
うるさいから寄りつくなと、何度となく言っているにも関わらず、この女ときたら、姑よりも厳しい目でバグを探し出し、さも自慢げに持ってくるのである。
まるで、『おっきなネズミを取ったの、見て見て!』という、ネコそのものだ。
『何で、オレんトコに寄ってくんだ!』
たまたま近くにいたチーフに当たったら、彼は苦笑して。
『そりゃあシャチョーが、”コウノ”だからでしょう?』
などと言った。
別に、周囲の人間にひっついてもらいたくて、カイトは”コウノ”を名乗っていたワケではない。
会社を興してからは、もうその名前は使わなくなったというのに、時々幽霊みたいに彼に忍び寄るのだ。
昔の自分。
まだ、メイに出会ったことのない時代の自分は、正直嫌いじゃない。
いまよりも、もっと何でも出来たような気がする。
しかし、足りなかった。
何でも出来たかもしれないが、それは精巧な模型と一緒で、綺麗ではあるけれども動き出したりしなかったのだ。
いまの自分は、思い通りにならない。
だが、それでも確かに動いている―― メイを抱えてさえいれば、それが出来ることを知った。
メイが、何か隠したことなんて、気にならない―― ワケがねぇ!!
くそっ。
昨日のことが、頭にしっかりとこびりついたまま、カイトは仕事場でバグ退治に眉を顰めていた。
今頃になって、やたら細々したバグが、彼のところに届けられるようになっているせいで、余計にイライラが募っていく。
よくもまぁ、こんなちっちゃいのを見つけたよな、というものまで出てきたのは。
一重に。
「シャチョー!! ここ、ここ!」
来た。
カイトは、半目になった。
応援部隊の切り込み隊長と、すっかり噂が高くなったハナである。
うるさいから寄りつくなと、何度となく言っているにも関わらず、この女ときたら、姑よりも厳しい目でバグを探し出し、さも自慢げに持ってくるのである。
まるで、『おっきなネズミを取ったの、見て見て!』という、ネコそのものだ。
『何で、オレんトコに寄ってくんだ!』
たまたま近くにいたチーフに当たったら、彼は苦笑して。
『そりゃあシャチョーが、”コウノ”だからでしょう?』
などと言った。
別に、周囲の人間にひっついてもらいたくて、カイトは”コウノ”を名乗っていたワケではない。
会社を興してからは、もうその名前は使わなくなったというのに、時々幽霊みたいに彼に忍び寄るのだ。
昔の自分。
まだ、メイに出会ったことのない時代の自分は、正直嫌いじゃない。
いまよりも、もっと何でも出来たような気がする。
しかし、足りなかった。
何でも出来たかもしれないが、それは精巧な模型と一緒で、綺麗ではあるけれども動き出したりしなかったのだ。
いまの自分は、思い通りにならない。
だが、それでも確かに動いている―― メイを抱えてさえいれば、それが出来ることを知った。