「ふぅ…ごめんなさいね」

 ようやく、知りたいことを手に入れたから安堵したのか、彼女もため息をついた。

 取り乱していた自分にも気づいたらしく、少し恥ずかしそうに説明を始めてくれた。

「中学の時からの同級生なのよ、彼女」

 思い出を語り出すハルコだったが、その瞳の色は少し複雑だ。

 素直に懐かしがるだけではなく、何か引っかかっているような、そんな色。

「中学1年の時から、ずっと一緒のクラスだったんだけど、いつもバイタリティに溢れていて、一人だけ全然違うオーラを持ってたの」

 たまにいるでしょう? そんな人。

 追加の言葉に、メイは曖昧に笑った。

 確かに、そういう人がいる。

 たとえば、カイトのような人。

 バイタリティはともかく、彼はちょっと人と違うオーラを持っているから。

 黙っていても、何故か目をひく人がいる。

 そんな人だったのだろう。

 確かに、彼女の知っている居酒屋の女将にも、ちょっと違うオーラがあった。

 そこまで若いとは、想像もしていなかったが。

「だけどねぇ…高校を卒業するなり、音信がぷっつり途切れてしまって。それからは、北の方の牧場で見たとか、南の島の軍基地にいたとか…変な噂ばっかり出回ってて」

 ハルコは、最後には苦笑になった。

 しょうがないわねぇ、という感じだったが、愛情に溢れていたので、すごく仲良しだったのだろう。

「この結婚式の時だって、送り先が分からなくて招待状を送れなかったんだけど、いきなり当日、どこから聞きつけてきたのかひょっこり現れて、披露宴に誘ったのに、またふらっといなくなっちゃって」

 そんなに近い、居酒屋で働いていたなんて。

 特大のためいきをついたハルコに、思わず笑みをこぼしてしまった。

 二人が揃ったところを、想像してしまったのだ。