紅茶とコーヒーの残り香が、舌の上で混ざる。

 しかし、すぐそんなことは忘れた。

 唇を貪るので、精一杯になったのだ。

 もっと。

 好きだを伝えたい。

 言葉よりも、抱擁で、キスで、身体中で――

 大事にする。

 何度も心の中でそれを誓いながら、カイトは彼女を抱え上げた。

「え? あ?」


     ※


 夕食は、宅配ピザを食べることとなった。

「何か、ソウマさんに言われたの?」

 部屋に帰ってくるなり、おかしくなってしまったカイトの行動を、今更ながらに不思議そうに聞かれて、はたとあのハガキのことを思い出した。

 しかし、どこに落としたか記憶になかった。

 部屋に戻るまでは、確かに握っていたはずだったのだが。


 証拠は、毛布の間に隠れていて。

 後でグシャグシャになったそれを見つけたメイが、恥ずかしさに真っ赤になったことを―― カイトは知らないままだった。