まっすぐ、ディスプレイに注がれている。

 あ。

 吸い込まれるように、メイはその横顔を見た。

 開きかけけた彼の唇が、一瞬きゅっと閉じて―― 意識が、様々な数列の海の中を駆けめぐっている目の色。

 その中に、ディスプレイの白い光が反射していた。

 彼女が。

 これまで、一度も見たことのない顔。

 仕事をしている、男の顔。

 ドキン。

 胸が、騒いだ。

 カイトが仕事をしている、その真剣な横顔に、惹きつけられる。

 その表情の中には、彼女の力はどこにも及ぶ隙間はない。

 それが寂しいとか思うより先に、心が震えた。

 ずっと見ていたい。

 普通なら、自分が見ることの出来ない表情のはずだ。

 いままで、家にいるカイトしか知らずにいた彼女は、すごく自分が損をしていることを知った。

 彼は、こんな顔をすることは出来るのだ。

 きっともっと、ほかにもたくさん知らない表情があるのだ。

 もっと。

 見ていたい。

 じっと。