●6
るんるるーん。
メイは、床から少し足が浮いていた。
お天気もよくて、さわやかすぎる日曜の午後だ。
彼女は、調理場の方でお湯をわかして、お茶の準備をする。
勿論、用意するのはあのマグカップを二つ。
メイの方は紅茶なのだから、ティーカップにすればいいはずだ。
その食器もちゃんとあるというのに、彼女は二つのマグカップをトレイの上に並べては、にこにこするのである。
何度も何度も、トレイの上でくるっと回して角度を調整したり、位置を変えてみたり。
ずっと眺めていたかった。
これから、二人でお茶をするのだ。
昨日、引っ越しがようやく終わって帰ってきて。
そして―― 夜に、お茶をした。
出ていく前の時のような、静かなお茶の時間が、また戻ってきたのだ。
しかし、あの頃とはかなり雰囲気が違って、それが彼女を驚かせた。
前のカイトは、割とゆっくりお茶を飲んでくれたのに、昨日の彼はかなりのハイペースで。
そんなに喉が乾いていたのかと思い、おかわりをついでこようかと聞くと、『いらねぇ』と即答が返ってきた。
きっと、下までコーヒーを用意しにいく彼女に遠慮したのだろう。
上の部屋の方に、お茶の用意が出来る環境があればいいな、とちょっと思ったけれども、そんなゼイタクなことを言ったら、バチが当たりそうだった。
メイも飲み終わって。
それから、二つのマグカップを片づけようと思ったけれども。
できなかった。
後片づけをしないと気になると言ったにもかかわらず、昨日の彼は譲ってくれなかったのだ。
そして、そのまま。
かぁっっ。
メイは、カイトのマグカップを両手で持ったまま、真っ赤になってしまった。
その先のコメントを、何も考えられなくなってしまったのだ。
るんるるーん。
メイは、床から少し足が浮いていた。
お天気もよくて、さわやかすぎる日曜の午後だ。
彼女は、調理場の方でお湯をわかして、お茶の準備をする。
勿論、用意するのはあのマグカップを二つ。
メイの方は紅茶なのだから、ティーカップにすればいいはずだ。
その食器もちゃんとあるというのに、彼女は二つのマグカップをトレイの上に並べては、にこにこするのである。
何度も何度も、トレイの上でくるっと回して角度を調整したり、位置を変えてみたり。
ずっと眺めていたかった。
これから、二人でお茶をするのだ。
昨日、引っ越しがようやく終わって帰ってきて。
そして―― 夜に、お茶をした。
出ていく前の時のような、静かなお茶の時間が、また戻ってきたのだ。
しかし、あの頃とはかなり雰囲気が違って、それが彼女を驚かせた。
前のカイトは、割とゆっくりお茶を飲んでくれたのに、昨日の彼はかなりのハイペースで。
そんなに喉が乾いていたのかと思い、おかわりをついでこようかと聞くと、『いらねぇ』と即答が返ってきた。
きっと、下までコーヒーを用意しにいく彼女に遠慮したのだろう。
上の部屋の方に、お茶の用意が出来る環境があればいいな、とちょっと思ったけれども、そんなゼイタクなことを言ったら、バチが当たりそうだった。
メイも飲み終わって。
それから、二つのマグカップを片づけようと思ったけれども。
できなかった。
後片づけをしないと気になると言ったにもかかわらず、昨日の彼は譲ってくれなかったのだ。
そして、そのまま。
かぁっっ。
メイは、カイトのマグカップを両手で持ったまま、真っ赤になってしまった。
その先のコメントを、何も考えられなくなってしまったのだ。