「とりあえず…オトメな日も終わったことだし、ね?」

 答えないままでいる彼女に、ハルコは最後は少しいたずらっぽい表情になった。

 オトメな日も終わったことだし?

 前後関係が分からずに、メイは一瞬きょとんとした。

 が。

 カァッッ。

 ハルコの言わんとしている意味が分かってしまって、真っ赤になる。

「そんな…その…」

 心の中で、彼女はジタバタと暴れた。

 オトメな日が終わって、いきなりカイトにしなだれかかるなんて、そんなこと出来ない。

 彼に、そういう女だと思われてしまうではないか。

 カイトに一番して欲しいのは、ぎゅっと強く抱きしめられることだ。

 それから、ちょっと贅沢を言えばキス―― その先は、夜遅く帰ってきて疲れ、なおかつ翌朝も早く出勤するような相手に、求めてはいけないものである。

 求めるって!!

 自分の想像上の単語に、またも彼女はがんじがらめになった。

 網にかかった動物みたいに、もがいてそこから抜け出そうとした。

 そんなことを自分で考えなくても、カイトがそういう気持ちになったら、きっとベッドの中で抱きしめてくれる、キスもしてくれる、触れてもくれるだろう。

 複雑な気持ちのまま、真っ赤にゆであがったメイは、なかなか次の言葉が見つけだせずに困った。


 ハルコの笑顔が、目に痛い。