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 チクショウ!!!!

 カイトは、もんどりうった。

 時間は、刻々と進まず―― 今日は、まだ火曜日なのだ。

 その時間の進み具合とは比較にならないくらい、毎日すさまじくメイが愛しいのだ。

 帰ってきてギュー、という恒例行事だけで、カイトは血が荒れ狂ってとんでもない状態だ。

 今日なんかは、慌てて引き剥がさなければならなかった。

 部屋にはいま、彼一人だった。

 カイトは風呂上がりで、それと入れ替わりでメイが風呂に行ったのである。

 いつもなら先に入っているはずなのに、今日はうたた寝をしてしまったらしく入りそこねていたというのだ。

 彼女を先に風呂にやろうとしたのだが、恥ずかしそうに『先に入って、お願い』の一点張りだった。

 5回目の言葉で、ようやく意味が分かって、カイトは脱衣所に飛び込んだのである。

 彼が気にしなくても、メイ自身が気になるのだろう。

 そういう状態の自分のことが。

 慌てて、具体的に考えないようにした。

 早めにストップをしないと、頭の中がとんでもないことになりそうだったのだ。

 そんな彼女は、いま風呂に行ったばかりで、しばらくは出てこない。

 しかし、出てきたとしても、彼女の身体は彼女だけのものであり、カイトのものにはならないのだ。

 今宵も、敬虔なシスターを抱えて眠ることになるのである。

 クソッ。

 彼女を抱けないということは、ほかの方面にも影響を与えつつあった。

 朝夕のぎゅーにさえ、支障が出ているのだ。

 キスに至っては、昨日もしていなかった。

 メイ相手に、挨拶のキスなんか出来ないからだ。

 いま、キスなんかしようものなら、カイトは間違いなく自爆である。

 一生、彼女に顔向けも出来なくなるような、最低の男に成り下がってしまう。