ソウマなら。

 そう思いかけて、ムッとしてやめた。

 確かにソウマなら、こういうコントロールは得意に違いない。

 しかし、その比較は、自分が男としてソウマより劣るという証拠のように思えて―― 許せなかったのだ。

 ムカついた余り、彼女の身体をぎゅっと抱きしめる。

 ふわんっ。

 カイトに当たった身体の感触が、あまりに柔らかくてリアルで、彼は心臓が飛び出しそうになるほど驚いた。

 今日だけ特別ということではないが、暗いせいや目が冴えているせいで、触覚が敏感になっているようだ。

 クソッ、クソッ!!!

 この手を、離せばいいのだ。

 離して眠れば、少しはマシなのである。

 吐息も感触も、カイトを苦しめる力を緩めてくれるに違いないというのに。

 しかし、彼は導火線に火のついた爆弾を抱えたままだった。

 一生懸命、短い導火線を継ぎ足しながら、爆発しないように耐え続けるのだ。

 先に彼女が眠ってしまった金曜日も含めて、今日で禁欲生活四日目。

 目の前にあって、触れられて―― でも、思いの丈をぶつけられないシスターのような存在になっている。

 汚れた思想を抱くだけで、バチが当たりそうな感じだ。

 カイトは、ぎゅっと目をつむった。

 何が何でも、眠ろうと思ったのだ。

 またオオカミが、尻尾を揺らしながら登場しないように、猟銃を構えて羊を守らなければならないのだ。


 ガオー。


 ズドーン!!!