ま。

 ま。

 まさか……。

 まさか、ベッドまで抱えて連れてきてもらったんじゃ!!!!

 いやー! きゃー! そんなー!!!!

 メイは、大変な騒ぎになってしまった。

 現状から考えると、それ以外にはあり得ない気がする。

 だからこそ、余計に逃げ場のない恥ずかしさが、押し寄せてくるのだ。

 抱えるということは、夢見がちな分をさっぴいても、多分『だっこ』なのだ。

 どうシミュレーションしてみても、ソファからここまで、それしか思い浮かばなかった。

 それを、夢見ていないワケではないのだが、現実の知らない間にそんなことが起きたなんて。

 だって、重いし。

 その重さを、カイトに知られてしまったのだ。

 彼は、何と思っただろう。

 自分を抱え込んでいる彼を、ちらりと見る。

 そっと頭を動かして顔を上げると、寝入っている彼の輪郭が見えた。

 カァッと、また恥ずかしさがよぎった。

 ソファで眠ってしまったメイを、ベッドまで抱っこしてくれた上に、こんな風に抱え込んで眠ってくれているのだ。

 その時の、カイトの気持ちに触ろうとしたら、何もかも恥ずかしいような気がしたのである。

 彼女の知らない世界でも、カイトが好きだと言ってくれているような気がしたのだ。

 都合のいい解釈なのかもしれない。

 だから、そう考えてしまった自分が恥ずかしかったのである。

 ああもう、朝起きてどんな顔をすればいいんだろう。

『ごめんなさい、重かったでしょう?』

 なんて、恥ずかしくて聞けない。

 そんな風にベッドの中で身悶えていたメイだったが、現実的にお手洗いに行きたくて、彼の腕から逃れる。

 最初は抱きしめられる腕の力が強くて、どうしようと思っていたが、しばらくすると―― するりと解けた。

 それはそれで、何だか寂しかった。

 わがままな私。