●21
 朝。

 メイは、目覚まし時計の音で飛び起きる。

 そして、ものの2秒とかからずに、それを止めた。

 カイトの安眠を妨害しないためだ。

 おそるおそる、隣を見る。

 いまの騒音で、目を開けていないかどうか。

 彼の目は―― 開いていた。

 えええ?

 ドキーン!

 メイは、その不意打ちに驚き固まってしまう。

 普通の彼なら、まだ深い眠りの中で泳いでいるはずなのに、今日に限っては水面に顔を出していたのだ。

 カーテンを引いているので薄暗い室内だったが、すぐ近くの彼の目が開いてるかどうかくらい、見間違えるはずがない。

 カイトは、目覚めていたのだ。

 カァ。

 薄暗くてよかった。

 メイは、真っ赤になりながら、慌てて動き始めた。

 と言っても、布団の中に潜り込んで、ごそごそとやり始めたのだ。

 こんなところで、いきなり明かりをつけられてはかなわない。

 まだ彼女は、何も身につけていないのだから。

 パジャマ、パジャマ。

 布団のどこかに紛れ込んでしまっているに違いない、その布きれを探す。

 もしかしたら、ベッドから転げ落ちているかもしれないが、いま彼女は外に出られる姿ではない。

 焦れば焦るほど見つからなかった。

 毛布の中の手が、何かを探す。

 布だ。

 あった!

 ばっと引っぱり出し、手探りで袖があるのを確認する。

 暗い中で袖を通しかけて、ハタと止まった。