□
少しの沈黙の後。
カァッ。
メイは、ベッドの上で赤くなった。
「あっ、その、それは……ううん、そうじゃないの…びっくりしたけど……嬉しかった」
カイトは、目を見開いた。
「何だか…私のいないところでも……私を好きでいてくれるような、そんな気がして…」
そんな気がして?
カイトは絶句した。
そんな気がするどころか、そのまんまだ。
離れている時の方が、余計に彼女を感じたくてしょうがないのに、一体何を今更言い出すのだろうか。
それとも一緒にいる時は、そこにメイがいるので、余計に好きに見えるように彼が演技しているとでも言うのか。
言っちゃ悪いが。
そんな器用な人間には、おそらくカイトは一生なれないのに。
「バッ…!」
怒鳴りかけて、ぐっと口をつぐむ。
言葉が足りない。
時間が足りない。
ゆっくり煮込めば痛くないのに、半生のままお互いをかじろうとするから、いつもこのザマだ。
カイトが、もどかしく苛立つ気持ちを言葉に出来ないというのは、風船の中に熱風をどんどん送り込むようなものだった。
見る間に大きくなる赤い風船。
「でも、カイトが先に眠ってたら…きっと私も…だから、すごくうれし……あっ」
パァン。
風船が―― 破裂した。
その破片が消えるより先に、カイトはベッドに乗り上げて、彼女を抱きしめていたのだ。
風船から叩き出された熱風に、一瞬で取り憑かれてしまった。
少しの沈黙の後。
カァッ。
メイは、ベッドの上で赤くなった。
「あっ、その、それは……ううん、そうじゃないの…びっくりしたけど……嬉しかった」
カイトは、目を見開いた。
「何だか…私のいないところでも……私を好きでいてくれるような、そんな気がして…」
そんな気がして?
カイトは絶句した。
そんな気がするどころか、そのまんまだ。
離れている時の方が、余計に彼女を感じたくてしょうがないのに、一体何を今更言い出すのだろうか。
それとも一緒にいる時は、そこにメイがいるので、余計に好きに見えるように彼が演技しているとでも言うのか。
言っちゃ悪いが。
そんな器用な人間には、おそらくカイトは一生なれないのに。
「バッ…!」
怒鳴りかけて、ぐっと口をつぐむ。
言葉が足りない。
時間が足りない。
ゆっくり煮込めば痛くないのに、半生のままお互いをかじろうとするから、いつもこのザマだ。
カイトが、もどかしく苛立つ気持ちを言葉に出来ないというのは、風船の中に熱風をどんどん送り込むようなものだった。
見る間に大きくなる赤い風船。
「でも、カイトが先に眠ってたら…きっと私も…だから、すごくうれし……あっ」
パァン。
風船が―― 破裂した。
その破片が消えるより先に、カイトはベッドに乗り上げて、彼女を抱きしめていたのだ。
風船から叩き出された熱風に、一瞬で取り憑かれてしまった。