大丈夫。私がどうにかして助けてあげるから


萄哉は最後の望みを私に告げた


それは―――・・・・・


『お前を抱きたい』


というもの。


なんでこんな時にそんな馬鹿げたことが言えるの?


「ふざけてないでちゃんとした―――・・・」


急に萄哉の唇が私の唇を強引に塞いだ


「んんっ!!?やぁ・・・っ!!ふざけ・・・・っんっ!ないでよォ!!」


真剣な眼差しで萄哉は言った


「まこ相手にふざけたことなんて一回もなかったよ・・・最後だから、まこを俺にください」


嘘じゃないんだね・・・ホントなんだね・・・なら私は―――・・・


「はい。最後までずっと離さないで私を愛してください」


この決断にはどれだけまよったか


「まこ・・・」萄哉は優しく何度も私の名前を呼んでくれた


それに引き換え私はというと


涙を堪えるのに精一杯で名前を呼べなかった


たとえ萄哉が名前を呼んでって言っても私は頑なに首をふり続けた


名前を呼んでしまうとホントに萄哉を無くしてしまいそうで―――・・・


私達は共に果てた


心も体もお互いを繋ぎ合わせた


起きると萄哉の腕枕に寝ていた


萄哉の腕の中は温かくて気持ちよくて――・・・


再び私の目からは大粒の涙が溢れた


この温もりを忘れてしまいそうで


すると萄哉も遅くだが目を覚ました


「おはよう♪萄哉」
「おはよう。まこ」


こんな他愛のない会話さえもが愛しく感じた


萄哉の人生のタイムリミットが始まった


止まっていた歯車がまた動き出す


ギシギシと鈍い音を立てながら―――・・・