私が目を覚ましたのはあれから何時間かあとのこと
私は、ベッドに寝ていた
「ねぇ・・・言わなきゃなんないことあるんだけど」
「ん?何?言ってみ!」
何も知らない萄哉は微笑み答える
「私、妊娠しちゃったかもしんない」
唖然とたたずむ萄哉
額には一粒の汗
「ごめん!嘘!さっきの忘れて!!忘れて―――・・・」
私の目から涙が零れた訳も判らずに
「嘘なわけねーだろが・・・そんな顔してよ・・・・大丈夫。責任は絶対取るから安心しろ」
と言いながら力強く抱きしめてくれた
一瞬『下ろせ』って言われるかと思った
だけど、受け入れてくれた
また一つ重荷を負わせちゃったね
ごめんね萄哉。それとありがとう。
「おばさん達にはっきり言わねーとな!そしたら俺がおじさんに殴られてやるよ」
萄哉は優しすぎるんだ
だから頼り過ぎちゃって
いつの間にか萄哉は私の所から居なくなってしまうんだ
「うん・・・・・っ!言わないとね!で、お母さんが帰って来たら『産婦人科』に連れてってもらうの」
私は時計に目をやる 時刻は4:00
お母さんが帰ってくる時刻の一時間前
「もう少しだね・・・・」
「緊張する〜〜〜!」
全く緊張してるとは思えない萄哉の仕草
あと三十分。刻一刻とその時が迫る
「怒られないかな・・・・なんか怖い」
私は治まらぬ緊張感から恐怖を味わっていた
あんなことになるなんて私達二人は知りもしないで―――・・・・