だけど…





家の前に着き、ちらりと時計を見て、愁はため息をついた。



時刻は朝の6時を少し過ぎた頃だった。




この時間に家に入るのは、愁にとってとても危険な行為である。




「家族」も、起き始めているだろう。


もしかしたら、誰かと顔を合わせることになるかもしれない…








そこまで考えて、愁はまたため息をついた。



どうせ他に行くあてなんてない。


こんな時間に学校に行くのも馬鹿らしい。



選択肢なんて、初めからないんだ…







覚悟を決めたように、愁は玄関のノブに手をかけた。