愁の『家族』と愁は、血の繋がりが全くなかった。







愁が幼い頃、実の母が死んだ。もともと身体が弱く、病気がちな女性だったらしい。



母が死んですぐ、父は再婚した。義母にも二人連れ子がいて、再婚同士の結婚だった。



最初のうちは、非常に平和な、温かい家庭だった。愁も義兄妹たちと仲良くなり、幸せな毎日を過ごしていた。



しかし、愁がまもなく高校に進学するという頃、幸せは突然崩壊した。



原因は、父の浮気であった。



愁の父はもともと浮気性で、愁の実の母もそれに苦しめられていた。



義母も、実の母と同じように、父の浮気に苦しめられることとなった。



実際には、もう結婚してすぐの頃から、義母は夫の浮気に苦しめられていた。そして、10年目にして、それが一気に爆発したのだ。




父は、家を出て行った。血の繋がった、実の息子である愁を置いて…